「自信」という言葉が呪いのように、まとわりつくあなたへの処方箋

「能力はあるんですよ。でもうちの部下は自信がないから一歩踏み出せないんです」

と考えるマネージャーは多い。

部下にコーチングしてみても「昔から自信がないんです。どうやったら自信がつきますか?」と悩んでいる。

「自信がない」

この言葉は、日常生活のいろいろな人の色々なシーンに蔓延(はびこ)っている。

それはまるで「呪い」のように、ぼくたちにふりかかり、僕たちを惑わせ、ふりまわす。

この「自信」という言葉が「呪い」になってしまっている原因を、日々コーチングや人の行動を扱う人間として、考察してみた。

(1)呪い1:「唯一絶対の自己がある」と思い込んでいる

自信とは文字通り「自分を信じる」というものだ。

だから信じるに値するほど確固とした自分が存在する、存在していて欲しいと願う。

しかし、私は人によって、場面によって自分は変わる。

例えば、上司と話す時、家族と話す時ではキャラがどこか変わっていたりするはずだ。

家族と話す時はべらべらと饒舌(じょうぜつ)な人も、上司といる時はひたすら聞き役に徹しているかもしれない。

この違いに気がつく度に「自分は話し上手なのか、聞き役が向いているのか、どちらが真の自分だ?」と考えていたらきりがない。

重要なのは、自分というものは「唯一一人」なのではなく、

場面や人によって出てくる自分が変わる複合的なものなのだ。

先の例でいえば話上手な自分もあなただし、聞き役になれる自分もあなたである。

唯一の自分に辿りつかなければならない、という考えもそれはそれで呪いになりえる。

(2)呪い2:精神論で終わらせている

自信のある/ないで、自分の行動や人生の選択をしている人に、「あなたにとって自信ってどうゆうこと?」ということを聞いてみたい。

「自信がある状態」をどれほど具体的にできるだろうか。

定義上は、自分の価値・能力を信ずること。自己を信頼する心。

と言われている。「信ずる」「信頼する」という少し曖昧な精神論よりの行為で片付けてしまうことができる。「信じる」という言葉は私も大好きな言葉ではあるが、ただ「思う」行為ではない、ということを伝えておきたい。

そして在り方だけの問題でもない。

「信じる」よりも、在り方でもない、もう少し具体的な考え方がある。

それが自己効力感である。何らかの行為を行うときに「自分はこうすればうまくいく(だろう)」という期待を持つことができる力のことを指す。

重要なのは精神論ではなく、過去の自分の行動パターンを知っていてある程度自在に使える、自分の判断の仕方を知っている、学習の仕方を知っている、という状態を作ることができるか、という具体的な振り返りと自己認識によってもたらされるということだ。

(3)呪い3:比較してはいけないと思いこんでいる

「自信がない」と悩む人からよく聞くことの一つに

「私はあの人よりここが劣っているからダメだ」と考えている人が多い。

これは、「比較」という行為によって、自分を傷つけている状態だ。人と比較しなくなった、という人は

人間にとって、比較という行為は物事を理解するためにはとても重要な行為だ。その比較をしなくなったということではなく、比較してなお自分を傷つけない比較の仕方がわかった、ということだと私は思っている。

例えるなら、比較する、という行為は包丁で食材を切る行為に似ている。包丁で切っていくと、包丁の使い方をわかっていないがゆえに自分の手を傷つけてしまう。がゆえに、「包丁なんて使っちゃダメだ」と言っているが、料理をする上では、包丁を使うという行為はほぼ避けられないだろう(ものによるけどね)。だから包丁を使う練習をして、自分の手を傷つけない方法を身に着けていく。

これは、つまり包丁を使うリテラシーが上がっている状態だ。

「比較する」という行為もこれと一緒だ。最初は、「比較して自分の欠点ばかりに着目して傷つける」という使い方をしていた。それが、「比較して自分の特徴を明らかにする」「比較して自分の持つ強みを明らかにする」という使い方に進化させられている。

実は「正しい比較の仕方」がある。

(4)呪い4:自信が行動のドライバー(動機)だと勘違いしている

行動を起こすには、自信が必要だ、と信じている人がとても多い。

しかし、本当は反対なのだ。

自信は行動を起こすことで生まれる結果なのだ。そして、行動を起こすことに自信のある/ないは関係ない。

そして、もう一つ勘違いがある。

行動を起こすのは、「動機」であり、動機をつくるための「感情」だ。

楽しい、わくわく、やる意義を感じている、など自分の「感情」をしっかり認識し、行動するための動機を

(まとめ)自信という呪いから抜け出るための処方箋

ここまでで下記を明らかにしてきた。

  • 唯一の自己探し ⇒ 複数の自己を使いこなす
  • 精神論としての自信 ⇒ 具体的な思考としての自信
  • 比較は悪 ⇒ 比較するリテラシーを上げる
  • 行動のドライバーは自信 ⇒ 行動のドライバーは動機と感情

これで「自信をつけないと行動できない」という呪いの正体を紐解き、具体的な行為へと少しレベルアップさせられたのではないかと思う。

上記4つの考えを活かし、「自信」を「信じる」ではなく「具体的に考える」という形で深めていってほしい。

投稿者プロフィール

中村勇気
中村勇気two edge ,LLC founder |パーソナルコーチ
two edge,LLC代表/人生を研ぎすます「WHEN EDGED」編集長/才能や価値観のパーソナルトレーニングプログラムSelfEdge提供中