目の前の大切な人と良い関係を支配しないための「正しく認識する力」

こんにちは。セルフエッジコーチの中村(@2sideEDGE)です。

最近気づいたことがあります。クライアントの事業部長、現場マネージャーの方が話してくださる部下のマネジメントの悩みに、ある「共通点」があるのです。それは「反応的な状態になっている」というものです。

「反応的な状態」とは、ちょっと聞き慣れない言葉かもしれません。ここから解説していきますね。

「反応的な状態」が職場と家庭を破壊する最大の原因である

例えばあなた、もしくはあなたの周りの友人は、こんな悩みを抱えていることがありませんか?ちょっと自分を振り返る、もしくは職場を見渡してみてください。

  • 気持ちに余裕がなく、部下やチームのメンバーにきつく当たってしまい後で一人後悔する
  • 「言ってもわかってくれない」、「どうせ意味がない」と思い、本音を自分の中に溜め込み建前を話す
  • 自分のこだわりが強く出て、出来事や周囲の人に正しさを押し付けて摩擦を生んでる

これらの後悔や建前、摩擦は、会社のみならず、家族や友人関係などあらゆるシーンで起こっています。

「起こった出来事(特にあなたにとって不都合なこと)に対して、反応的な行動をとっている、ということです。

この「反応的な状態」には以下の特徴があります。

  • 怒りに任せて、感情をぶつける
  • 何度も同じ失敗を繰り返す部下に諦めの感情がわく

つまり、「反応的な状態」とは、何か起こった出来事に対して自分の感情通りに反応してしまう状態のこと。そして、その結果に起こった出来事に対して責任を持てていない状態です。この「反応的な状態」が職場をギスギスさせたり、困っている人がいても助けないという無関心状態を助長させる根本の原因なのです。

人間関係を改善する第一歩は、「自己認識力」である

では、どうすればこの「反応的な状態」を回避して、職場や人間関係を改善できるのでしょうか。それは「自己認識力」を上げることに尽きます。

この「自己認識力」は、言い換えると「反応的な行動による悲劇を避ける力」とも言えます。「自己認識力」を上げると、反応的な状態から主体的な状態へと変化します。その違いを表した図が下記です。

「自己認識ができている」状態になると、上記の図のような後悔や建前、摩擦に反応する前に認識し、どんな反応をするのかを自ら選択できるようになります。簡単にいうと、何か起きた時にも「どう伝えようか」という間を置く余裕ができて、伝え方に工夫をこらせるようになるのです。「主体的な状態」になると、「どういった人間関係を築きたいか」といった本来の考え方に基づいて部下や上司と関係を作れるようになります。※具体例は下記の段落にて。

あなたはどのレベル?「自己認識力」の4つのレベル

そして、この「自己認識力」には4つのレベルがあります。これを理解していると職場での人間関係が良いのか悪いのか、どう改善していけば良いのかがひと目で分かるようになります。

ここまで読んでくださっている方は、おそらく職場での人間関係に課題を感じている、ないしは改善の余地があると考えている方でしょう。そんな方はレベル1に位置していると考えられます。レベル1に位置しているのならば、さらにその上の2、3、4と「自己認識力」を上げて、人間関係をより良いものに変えていくようにトレーニングしていきましょう。

「自己認識力」を上げるための考え方

では、どのように「自己認識力」のレベルを上げていくのか。考えるべきポイントは何個かのためには「責任:Responsibility」という考え方の理解を深めることが重要です。

責任は英語に分解するとResponsibility(レスポンシビリティ)になります。この言葉を分解すると、 Response−Ability、「Response⇒反応する、Ability⇒能力」、つまり「反応する力」という意味が、この責任という言葉には込められています。

では、ここでケーススタディを考えてみましょう。この「責任」という考え方を用いたら、「部下が期待を遥かに下回る資料を出してきた」という状況に対してどのように対処するようになるでしょうか?

下記で「部下が自分の期待値を遥かに下回る資料を提出してきた」場合について考えてみましょう。

このように反応的な状態では、どんな行動をとるのかを、一切選択することなく、起こった出来事に対して、自分の感情を露わにして、詰めモードで部下に接してしまっている状態です。

それに対して、主体的な状態では、「どんな行動をとればいいだろうか?」という自分への問いかけが入っています。認知した事実に対して、自分がとるべき行動を自ら選択していこうとしていることが、主体性を実現するために必要なポイントになります。

「自己認識力」を上げるための「責任力」の使い方

では、ここからはそういった怒りや諦めの感情に支配されずに「責任力」を高めていく方法を解説します。

  • 自分の価値観(大事にしていること)を知ろう
    • 怒りの背景には、あなたはが大事にしている価値観が必ず存在しています。そのため、怒りの感情が湧いてきたと認識した時には、必ず「なぜ私は怒ってしまったのだろうか」、「以前にも似た怒りを感じた時はいつだっただろうか」と怒りの理由やシーンを振り返るようにしてください。例えば「なんで指摘したとおりにできないんだ?」という怒りの裏には「僕はやると決めたことは必ずやり遂げる」「僕は相手のアドバイスは素直に受け止める」という価値観が埋まっています。
    • 怒りを感じた時は自分が大切にしている価値観が蔑ろにされたり、プライドが傷つけられたりする場合が多いです

  • 自分の才能(当たり前にできていること)を知ろう
    • 才能は、あなたがふだんとっている行動(やっていること)や感情(好き嫌い、大事にしていること)、態度の当たり前に繰り返すことができるパターンのことです。例えば、人の感情の機微を手に取るように感じ取る、問題解決していくことが得意だ、周囲を明るい気持ちにさせる、といったことです。
    • あなたが普段とっている行動や発言、態度にあなたの才能は必ず埋もれています。自分の才能を知ることで、自己認識力がぐぐっと高まります。

  • 深呼吸を5回しよう(意外と大事)
    • 認識力は意識だけではなく、身体の状態にも大きく作用します。感情のまま反応する前に5回深呼吸すると、身体的なリラックス状態を作ることができます。こうすることで自分をメタ認知する、つまり客観的に自分の行動を観察できて行動を選べるようになります。
  • 自分に問いかける
    • 自分を俯瞰してみるための質問があります。例えばこんな風に問いかけてみてください。
      • 今、何が起こっているのだろう?
      • 私は、何を感じているのだろう?
      • どんな選択肢がありえるだろう?
      • どんな反応をしようとしていただろう?それはベストな選択だろうか?

職場の仲間や部下の関係を改善しようとした時に、自責の念が強い人は「自分を犠牲にすれば良い」と考えてしまいます。特に人間関係に悩む方は、自責の念が強いことがほとんどです。でも、自分を犠牲にせずに個性を出しつつも、相手と心を通わせて良好な関係をつくることは可能です。そのために、「自己認識力」と「責任」という考え方があること、ぜひ覚えていてください。