チームを上手く作れない原因は自分にある!?マネージャーの多くが知らない非認知スキルの話

トッププレーヤーがマネージャーになった途端、チームが崩壊するー。
マネージャーになったけれども、部下のマネジメントの仕方がよくわからないー。

皆さん、こんな経験はありませんか?

一見、部下の能力に問題があると思いがちですが、実はマネージャー自身にも問題があるんです。今回は”チームが上手くいかないマネージャーが抱えがちな問題”について、紐解いていきましょう。

チームが上手くいかないマネージャーが抱えがちな問題
1 自分の営業スタイルを部下に押しつけている
2 マネジメントの仕方が分からないから、マネジメントについての本を読む
3 自分のやり方が通じないがために、部下が無能だと感じる

こういった問題の原因は、営業力やスキルではなく「非認知スキル」にあるのです。

仕事のパフォーマンスは、認知スキル×非認知スキルの掛け算でてきている

仕事のパフォーマンスを上げようと言ったとき、マーケティングや英語などの知識や技術を付けようとしますよね。しかし、仕事のパフォーマンスを上げるためには、どんな知識を得るかではなく、得た知識を「どう使うのか」の方が圧倒的に重要なんです。

その知識の使い方を司っているのが、非認知スキルです。多くのマネージャーが、非認知スキルが足りないことが原因でチームの問題が起こっているにも関わらず、認知スキルの獲得ばかりに偏ってしまっているんです。

仕事のパフォーマンスをPCで例えると、アプリ×OSで成り立っています。人間に置き換えると、認知スキル×非認知スキルとなります。

「認知スキル」とは、営業、会計、マーケティングなど、数値化しやすい技術やスキルのことです。PCだとアプリに相当します。反対に、「非認知スキル」とは、意欲、楽観性、コミュニケーション力、自制心、自己効力感など、数値化が難しいスキルのことです。PCではOSにあたります。優秀なiPhoneアプリをいくら沢山インストールしても、OSがAndroidだったら意味がないですよね。

それと同じように、マーケティングや会計の知識などをいくら学んでも、それが自分にあったアプローチでないと意味がないんです。

ついつい目に見える認知スキルへの投資をしがちですが、それでは目の前の問題は解決しません。自分に合った勉強法を身に付けるなど、自分の非認知スキルにアプローチすると、根本的な解決につながるんです。

非認知スキルって?何が大切なの?

では、非認知スキルとは一体何でしょうか?一般的に、意欲・楽観性、忍耐・自制心、自信、思いやり、コミュニケーション力といった、能力を育てるためのスキルを指します。

これは、自分が持っているストレングスファインダーの上位資質や才能を使って高めることができます。PCに例えると、自分のOSをしっかり知りましょう!とも言い換えられます。

OECD(経済協力開発機構)の2015年の報告書でも、今後教育で育むべき能力は「非認知スキル」だと述べている。

”OECD(経済協力開発機構)は、「Skills for Social Progress: The Power of Social and Emotional Skills」(OECD、2015)というレポートを刊行し、社会の発展及び個人の well-being につながるような、我々人間が持つ様々なスキルとその教育に関する発表を行っている。〜中略〜このレポートでは、人のスキルを認知的スキルと非認知的スキルに大きく整理して捉えており、後者を「社会情緒的スキル(Social and Emotional Skills)」と呼んでいる。認知的スキルは、知識、思考、経験を獲得する能力であり、獲得された知識に基づく解釈や推論などが含まれる。一方、社会情緒的スキルは、「長期的目標の達成」「他者との協働」「感情を管理する能力」の3つの側面に関する思考、感情、行動のパターンであり、学習を通して発達し、個人の人生ひいては社会経済にも影響を与えるものとして想定されている。なお、二つのスキルは相互に密に関連するものとして示されている。レポートでは、現代社会において我々が円滑な個人生活及び社会生活を送るために、認知的スキルと社会情緒的スキルの双方を包括的に使用することが重要であると論じられている。”

国立教育政策研究所『非認知的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書』(遠藤, 2017)(2020年8月31日アクセス)https://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pdf_seika/h28a/syocyu-2-1_a.pdf

このように、非認知スキルは、世界的にも注目されているものなんです。

非認知スキルを使いこなせていないとどうなる?

この非認知スキルを高めるためには、自分の感情と思考を使いこなす力を高めることが重要です。この非認知スキルには、アクセル(自己表現)とブレーキ(自己調整)の2つがあります。

アクセルが強い人は、部下に感情的に怒る、自分の話ばかりをするなどの傾向があります。反対に、ブレーキが強い人は同僚の顔色を伺いすぎて自分を抑えすぎたり、会議で伝えたいことがあるのに発言できない、などのトラブルが起きがちです。

これらは車でいうと交通事故を起こしている状態なんです。アクセルが強すぎて相手とぶつかったり、ブレーキを強く踏みすぎて思うように進まなかったりー。自分の車はしっかりハンドルを操る必要がありますよね。

人によって、アクセルのブレーキのかかり方、つまり非認知スキルは異なります。人間の非認知スキルは、車の交通状況以上に環境に左右されやすいので、しっかり認知する必要があります。

自分の非認知スキルの使い方を高めたマネージャーの例

自分自身をしっかり使いこなした結果、自身もチームも変化することがよくあります。例えば、人材営業のプレーヤーとしての実績を評価され、マネージャーに昇格したMさん。

しかし、Mマネージャーは自分の営業スタイルを部下に教え込み、マネジメントするものの成果が出ず、チーム崩壊の危機にー。まさにMマネージャーは、自分と部下の非認知スキルが異なるにも関わらず、自分と同じノウハウを入れようとしていっていたのです。

Mマネージャーは中村さんのコーチングを受けるなかで、自分のOSや部下との違いを理解していきました。Mマネージャーと部下のTさんの非認知スキルを見てみると、Mマネージャーはコミュニケーションなどの資質からお喋りが上手で、話しながらどんどんアイデアが出て、顧客を口説いて巻き込んでいくことが勝ちパターンでした。

 しかし、Tさんは原点思考や共感性の資質があり、話すことよりも相手の話をよく聞き、ニーズを言葉に落とす事が得意でした。部下のTさんの強みは、Mマネージャーのように喋り倒すことではなく、求める人物像を掴み、魅力的な求人票を書くことだったのです。

MマネージャーとTさんは全く異なるアクセルとブレーキを持っている認識をお互いに自覚し、営業スタイルは、お客さんとマネージャーのMさんが話し、Tさんがメモを取って提案書や求人票に書くことに変更。

その結果、2人で営業に行くのが最強コンビになりました。ずっと営業目標を未達成だったMさんですが、2ヶ月足らずで約2000人の会社でMVPを取るほどまでに成長しました。

このエピソードでも、対立していた2人が最強タッグになった鍵は、お互いの非認知スキルを知ることにありました。

初めてのマネジメントでよくあるのは、自分の才能に無自覚なことです。覚えておいてほしいのが、あなたをマネージャーにさせてくれたプレーヤーとしての成功体験が、マネージャーとしての成功を最も阻む要因になるということ。

「こうやれば絶対上手くいく」など、自分の勝ちパターンややり方が必ずしも他人にとってベストではないことは頭の片隅に置いておきましょう。

自分の非認知スキルを知ろう!

非認知スキルを高めるための方法の一つに、仕事で褒められて終わりではなく、なぜ嬉しかったのかを考える自分の価値観の振り返りがあります。ぜひ試してみてください。自分の非認知スキルをしっかり理解し、使いこなしていきましょう!

もっと非認知スキルを高めるためには?

two edgeでは、1対1のコーチングやコミュニティ型の習慣化サロン、組織開発向けの研修・トレーニングを随時開催しています。

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投稿者プロフィール

鳥井 美沙
教育・執筆・企画など|社会人向けスクールで企画広報をしながら、複業でWebメディアの執筆・編集などをしています。